日本佛教学会第94回(2025年)学術大会
「仏教と性/ジェンダー:差別のない社会をめざして」

下記のフォームより学術大会のお申し込みを受け付けています。
https://forms.gle/dNLwZ3hmseanrbBv6

【申し込み締切】9月12日(金)

日程情報

日時2025年9月27日(土)10:00~・9月28日(日)9:00~
開催校武蔵野大学
会場武蔵野大学 有明キャンパス
研究発表2025年9月27日(土)10:00~・9月28日(日)9:00~
総会9月27日(土)16:15~
記念撮影9月27日(土)16:00~
理事会9月27日(土)11:40~13:00・28日(日)12:00~13:30

大会趣旨文

 近年、日本社会においては、ダイバーシティー(多様性)が重視され、ジェンダー平等 や、LGBTQ に代表される性的マイノリティーの権利保障が大きな課題として認識される ようになった。日本のジェンダーギャップ指数は下位に低迷しており、いまだ多くの差別 や解消されるべき問題が見られるものの、それらを克服するためのさまざまな取り組みが 行われ、広がりを見せている。
 このような動きは、仏教界においても徐々に見られるようになってきている。全日本仏 教会やいくつかの宗派、寺院においては、ジェンダーやLGBTQ をテーマにしたシンポジ ウム等が開催され、ジェンダーバランスなどについての実態調査が行われるなど、さまざまな活動が見られるようになってきた。
 一方、仏教学界の動きは鈍いと言わざるを得ない。欧米の学界では、仏教学に限らず、 発表者の選定や役員の選出などにおいてジェンダーバランスを考慮することは常識である。国内に目を向けても、隣接する日本哲学会や日本宗教学会においては、男女共同参画 に関する委員会やワーキンググループが設置されるなど、問題解決に向けた組織的な取り組みが見られる。日本の仏教学界でも、ジェンダーや性的マイノリティーに関する調査研究が行われるようになり、女性役員の数も徐々にではあるが増えてきている。そうである にもかかわらず、学協会が組織的なレベルで問題解決に取り組んでいるかと問われれば、残念ながら不十分であると言わざるを得ない。それは長年、理事の男女比が40:0の本学会も例外ではない。
 ふりかえれば1990年前後には、仏教における性差別や、仏教と女性をテーマとする研究 が多く発表された。本学会でも第60回大会(1990年)で「仏教と女性」をテーマに学術大 会が開催され、通常の研究発表に加え、特別企画としてシンポジウムが行われた。そこで は「仏教は本質的に平等思想であるから、差別を行わない(はずだ)」という主張と、実態として性差別等が行われ、温存されてきた歴史や現状への告発とが平行線をたどっていた。その後、歴史研究を中心に研究の蓄積は進んでいるが、この平行線は解消されたとは 言えないと思われる。
 仏教学者として性やジェンダーをめぐる現代的な課題に取り組むためには、まずは伝統 や現状を自己弁護に陥ることなく批判的に捉えたうえで、仏教精神に根ざした平等や多様 性を社会的に実現するための議論を喚起することが必要ではなかろうか。そのためにも本 学会では、第94回(2025年)・第95回(2026年)の2年にわたり「仏教と性/ジェンダー:差別のない社会をめざして」をテーマとして設定し、研究発表と議論の場としたい。

2025年9月27日(土)

発表題目レジュメ発表者コメンテーター司会
セッション1
10:00 - 10:20sama「平等」とeka「同一」―『法華経』における三乗と一乗を中心として― 李 暎実*
(駒澤大学)
戸田 裕久
(立正大学)
曽和 義宏
(佛教大学)
10:20 - 10:40『法華経』常不軽菩薩品にみられる男女に係る命令語形の差異 笠松 直
(東北大学)
10:40 - 11:00『法華経』における女人成仏・不成仏思想の混在が意味するもの 鈴木 隆泰
(東京大学)
11:00 - 11:40コメント・質疑応答
セッション2
13:00 - 13:20寺社縁起における女神と天女 田中 亜美*
(早稲田大学)
小川 太龍
(花園大学)
奥野 光賢
(駒澤大学)
13:20 - 13:40白隠慧鶴と女性弟子――尼僧の場合―― 竹下 ルッジェリ・アンナ
(花園大学)
13:40 - 14:10コメント・質疑応答
14:10 - 14:30休憩
セッション3
14:30 - 14:50朝鮮三国時代における出家女性と比丘尼教団―ジェンダー的視座からの考察― 禹 鍾仁*
(大谷大学)
岸野 亮示
(京都大学)
西村 直子
(東北大学)
14:50 - 15:10差別ではなく守るために―比丘尼・比丘尼サンガ・比丘尼律とそれらの復興可能性について― 藤本 晃
(広島大学)
15:10 - 15:40コメント・質疑応答
15:40 - 16:00休憩
16:00 - 16:10記念撮影
16:15 - 17:00総会

2025年9月28日(日)

発表題目レジュメ発表者コメンテーター司会
セッション4
9:00 - 9:20真宗における女人救済論の再考 岩﨑 慧*
(龍谷大学)
岩田 真美
(龍谷大学)
三輪 是法
(立正大学)
9:20 - 9:40浄土教思想とLGBTQ+ 工藤 量導
(大正大学)
9:40 - 10:00クィア仏教学考ークィア/フェミニズムと仏教は共存できるのかー 宇治 和貴
(九州龍谷短期大学)
10:00 - 10:40コメント・質疑応答
10:40 - 11:00休憩
セッション5
11:00 - 11:20チベット仏教における智慧と女性 槇殿 伴子
(身延山大学)
菊谷 竜太
(高野山大学)
種村隆元
(大正大学)
11:20 - 11:40真言密教における性差―修行論を中心に― 北川 真寛
(高野山大学)
11:40 - 12:10コメント・質疑応答
セッション6
13:30 - 13:50九條武子における理智と情操 西 義人
(京都女子学園)
鍋島 直樹
(龍谷大学)
石川 琢道
(大正大学)
13:50 - 14:10中世真宗で依用された『有善女物語』の構成とその思想―「物語」に見る妻から夫への教化内容を中心に― 板敷 真純*
(東洋大学)
14:10 - 14:40コメント・質疑応答
14:40 - 15:00休憩
セッション7
15:00 - 15:20初期仏典における性差の一側面ーarahatという語に注目してー 唐井 隆徳*
(佛教大学)
ダシュ・ショバ・ラニ
(大谷大学)
八尾 史
(東京大学)
15:20 - 15:40転輪聖王―女宝を所有するもの― 福田 琢
(同朋大学)
15:40 - 16:10コメント・質疑応答
*大学院生とそれに準ずる者(研究員、研究生など)ならびに課程博士の学位取得後 8 年以内の研究者

これまでの学術大会

大会開催校
2025年度学術大会 「仏教と性/ジェンダー:差別のない社会をめざして」武蔵野大学
2024年度学術大会 「仏教と病」広島大学
2023年度学術大会 「仏教と病」駒澤大学
2022年度学術大会 「衆生 いのちあるもの」佛教大学
2021年度学術大会 「衆生 いのちあるもの」大正大学
2019年度学術大会 「仏教と日本 ―他文化・他思想との交流―」東洋大学
2018年度学術大会 「佛教と日本 ―「日本」的な仏教の特性―」同朋大学
2017年度学術大会 「人間とは何か ―人間定義の新次元ヘ―」 ―仏教から見る「人間」定義の新次元―東北大学
2016年度学術大会 「人間とは何か ―人間定義の新次元へ―」 ―仏教における「人間」定義の諸相―相愛大学
2015年度学術大会 仏教における実践を問う ―社会的実践の歴史と展望―東京大学
日本佛教学会学術大会