日本佛教学会2018年度学術大会(第88回大会)
「佛教と日本 ―「日本」的な仏教の特性―」
日程情報
日時 | 2018年9月4日(火)・5日(水)9:00~ |
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開催校 | 同朋大学 |
研究発表 | 2018年9月4日(火)・5日(水)9:00~ |
総会 | 9月4日(火)16:40~ |
記念撮影 | 9月4日(火)総会終了後 |
懇親会 | 9月4日(火)18:30~ |
理事会 | 9月4日(火)11:40~12:50 9月5日(水)11:50~13:00 |
大会趣旨文
2018年度・2019年度の統一テーマは「仏教と日本」である。
これまで本学会では、「経典とは何か」「信仰とは何か」「実践を問う」「人間とは何か─人間定義の新次元へ」といった統一テーマに取り組んできた。次なるテーマとして「日本」を取り上げてみたい。私たちは「日本」という場において仏教を研究している。しかし、「日本」をあまりにも自明としてきたのではないか。本学会においても「日本」を大会テーマとして直接に取り上げたことはなかった。
「日本」における仏教と仏教研究は、その受容以来、つねに内外のさまざまな文化との交流のなかで展開してきた。あるときは隷属的に、あるときは共生的に、あるときは排他的に、他の文化・思想と関わることによって「日本」的な特性を醸成してきたのである。「仏教」にとって「日本」とはどのような意味をもつのであろうか。
2018年度はサブテーマを「日本的な仏教の特性」とする。仏教学には「日本仏教」分野があり、日本における仏教の受容と変容、日本仏教の思想的特徴、各宗の教学の形成過程、教団の歴史的変遷、背景をなす時代社会や日本的風土との影響関係、近現代社会における仏教の意義、といった主題が様々なかたちで探求されている。それら現在の日本仏教研究の最前線から見える「日本的仏教」の特色を浮き彫りにすること、それが本大会の狙いのひとつである。
一方、多くの宗門大学には宗学に特化された学科や専攻が設けられ、宗祖の教学が、日本的なものとしてではなく、むしろそのような地域や民族の制約と対峙し、それを打ち破る普遍思想として学ばれている。そこでは宗学と「日本」とは時に対立的である。
あるいは近代仏教学によって確立された、梵・蔵・漢・巴資料に基づく文献学や、西洋哲学を援用した思想解釈の方法は、大乗非仏説論争や十二縁起論争など、日本固有の問題意識を惹起している。このような傾向は、比較的近年の如来蔵思想批判、あるいはチベット仏教や上座仏教の視点からの日本仏教批判といった流れとも、ある程度呼応するように思える。その意味で「日本的な仏教の特性」という課題は、日本仏教の研究者に限らず、「日本で」仏教を学ぶ研究者たちすべてに共有されるべきテーマといえる。
本大会を機に、仏教あるいは仏教研究の日本的な特性が、多彩な分野の研究者によって徹底的に問い直され、「仏教」と「日本」との関係についての新たな知見が生み出されることを期待したい。
2018年9月4日(火)
発表題目 | レジュメ | 発表者 | コメンテーター | 司会 | |
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09:00 - 09:20 | 「日本仏教」のはじまり ―古代中世の認識をめぐって―
〈キーワード〉:「仏教伝来」、「聖徳太子信仰」、「善光寺信仰」、「歴史観」 | [ PDF ] | 吉原浩人 (早稲田大学) |
田山令史 (佛教大学) |
神達知純 (大正大学) |
09:20 - 09:40 | 日本語による仏教学への貢献と限界
〈キーワード〉:「人文学の課題」、「自動翻訳」、「論文集の刊行」 | [ PDF ] | 藤井淳 (駒澤大学) |
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09:40 - 10:10 | コメント・質疑応答 | ||||
10:10 - 10:30 | 休憩 | ||||
10:30 - 10:50 | 近代日本における「宗教」概念の受容と仏教への思想的影響
〈キーワード〉:「近代日本」、「宗教」、「仏教」 | [ PDF ] | 脇崇晴 (九州大学) |
加来雄之 (大谷大学) |
伊藤真宏 (佛教大学) |
10:50 - 11:10 | 近代における「天上天下唯我独尊」の説示
〈キーワード〉:「仏伝」、「灌仏会」、「情報発信」 | [ PDF ] | 西義人 (京都女子学園) |
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11:10 - 11:40 | コメント・質疑応答 | ||||
11:40 - 12:50 | 理事会 | ||||
12:50 - 13:10 | 日本仏教はなぜ「在家主義」的か?
〈キーワード〉:「持戒」、「専修念仏」、「明治維新」 | [ PDF ] | 安達俊英 (大阪大学) |
中尾良信 (花園大学) |
織田顕祐 (大谷大学) |
13:10 - 13:30 | 日本仏教に悟りはあるか?
〈キーワード〉:「部派分裂」、「在家阿羅漢」、「ヴィパッサナー」 | [ PDF ] | 藤本晃 (広島大学) |
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13:30 - 13:50 | 日本仏教における戒律の特異性
〈キーワード〉:「持戒」、「持律」、「如法」 | [ PDF ] | 大谷由香 (龍谷大学) |
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13:50 - 14:30 | コメント・質疑応答 | ||||
14:30 - 14:50 | 休憩 | ||||
14:50 - 15:10 | 宝地房証真の禅観
〈キーワード〉:「証真」、「智顗」、「三大部」、「止観私記」、「禅観」 | [ PDF ] | 大松久規 (愛知学院大学) |
石井公成 (駒澤大学) |
中島志郎 (花園大学) |
15:10 - 15:30 | 中古天台口伝法門の三大部解釈
〈キーワード〉:「口伝法門」、「天台三大部」、「中古天台」 | [ PDF ] | 藤平寛田 (叡山学院) |
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15:30 - 15:50 | 初期曹洞宗と日本禅宗
〈キーワード〉:「達磨宗」、「波著寺」、「密禅併修」 | [ PDF ] | 中尾良信 (花園大学) |
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15:50 - 16:30 | コメント・質疑応答 | ||||
18:30 - | 懇親会 |
2018年9月5日(水)
発表題目 | レジュメ | 発表者 | コメンテーター | 司会 | |
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09:00 - 09:20 | 日蓮教団と為政者
〈キーワード〉:「日蓮教団」、「織豊時代」、「為政者」 | [ PDF ] | 木村中一 (身延山大学) |
原愼定 (立正大学) |
楠淳證 (龍谷大学) |
09:20 - 09:40 | 長松日扇に見る日蓮宗教学史上の特異性
〈キーワード〉:「皆久論争」、「読誦謗法」、「釈教歌」 | [ PDF ] | 武田悟一 (立正大学) |
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09:40 - 10:10 | コメント・質疑応答 | ||||
10:10 - 10:40 | 休憩 | ||||
10:40 - 11:00 | 法然から親鸞へ ―専修念仏思想の相承と問題点―
〈キーワード〉:「専修」、「専修念仏者の姿勢」、「諸神・諸仏・諸菩薩軽侮」 | [ PDF ] | 金信昌樹 (高田短期大学) |
三木彰円 (大谷大学) |
深川宣暢 (龍谷大学) |
11:00 - 11:20 | 仏教の土着化として見る法然浄土教について
〈キーワード〉:「聖仏教」、「世俗性」、「人間観」 | [ PDF ] | 市川定敬 (佛教大学) |
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11:20 - 11:50 | コメント・質疑応答 | ||||
11:50 - 13:00 | 理事会 | ||||
13:00 - 13:20 | 御室と仁和寺教学圏
〈キーワード〉:「真言密教」、「仁和寺」、「御室」 | [ PDF ] | 堀内規之 (大正大学) |
苫米地誠一 (大正大学) |
則武海源 (立正大学) |
13:20 - 13:40 | 「国風文化」期の真言密教
〈キーワード〉:「弘法大師入定留身信仰」、「国風文化」、「「高僧伝」」 | [ PDF ] | 櫻木潤 (高野山大学) |
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13:40 - 14:10 | コメント・質疑応答 | ||||
14:10 - 14:40 | 休憩 | ||||
14:40 - 15:00 | 即身仏に見る日本的な仏教の特性
〈キーワード〉:「即身仏」、「即身成仏」、「密教」 | [ PDF ] | モリス・ジョン (駒沢女子大学) |
佐伯俊源 (種智院大学) |
野口圭也 (大正大学) |
15:00 - 15:20 | 中世真言宗教団の構造と秩序
〈キーワード〉:「東寺」、「修法」、「公家」 | [ PDF ] | 西弥生 (種智院大学) |
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15:20 - 15:50 | コメント・質疑応答 | ||||
15:50 - 16:20 | 休憩 | ||||
16:20 - 16:40 | 親鸞の「日本」観
〈キーワード〉:「親鸞」、「片州」、「時機」 | [ PDF ] | 伊東恵深 (同朋大学) |
鍋島直樹 (龍谷大学) |
金澤篤 (駒澤大学) |
16:40 - 17:00 | 英語圏における浄土真宗 ―日本的特性によって閉ざされている普遍救済の道―
〈キーワード〉:「親鸞」、「英訳『教行信証』」、「浄土真宗の海外布教」 | [ PDF ] | Michael J.Conway (大谷大学) |
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17:00 - 17:30 | コメント・質疑応答 |