日本佛教学会2017年度学術大会(第87回大会)
「人間とは何か ―人間定義の新次元ヘ―」 ―仏教から見る「人間」定義の新次元―
日程情報
日時 | 2017年9月5日(火)・6日(水)8:30~ |
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開催校 | 東北大学 |
研究発表 | 2017年9月5日(火)・6日(水)8:30~ |
総会 | 9月5日(火)16:30~ |
記念撮影 | 9月5日(火)総会終了後 |
懇親会 | 9月5日(火)18:00~ |
理事会 | 9月5日(火)12:00~13:00 9月6日(水)12:00~13:00 |
大会趣旨文
2016年度・2017年度の統一テーマは「人間とは何か ―人間定義の新次元へ―」である。
これまで本学会では、「経典とは何か」「信仰とは何か」「実践を問う」といった統一テーマに取り組んできた。そして次なる課題は「人間とは何か」である。仏教は人間をどのように定義づけてきたのであろう。またその定義は今日の諸科学と対話可能なものであるのだろうか。仏教が語る「人間」は、現代社会や現代人にとってどんな道筋を提示できるのであろうか。
このようなテーマが設定された背景には、我々が漠然と保持している「近代の人間定義」の揺らぎがある。古来、宗教の領域では、「被造物」「魂」「罪」「理性」「我」など様々な文脈を駆使して人間を定義してきた。それは各文化圏における伝統的な人間観の基盤を形成していたのである。そのような伝統的な人間観の問題点が、近代においては次々と糾弾されることとなる。基本的人権を有する主体としての人間定義が成熟し、人間中心主義的立場が大きな歩みを遂げた時代、それが近代であった。宗教の文脈を使用することなく人間を語るという姿勢こそ、欧米型近代社会の大きな特性だったのである。
しかし地球環境・生命科学・医療技術などの展開によって、近代型人間理解のパラダイムは随所に行き詰まりを見せ始めている。「生命はどこまで操作してよいのか」「人間と自然とはどのような関係にあるのか」「延命の問題」「人工知能」「クローン人間」など、従来の人間定義ではうまく解けない事態が生じているのである。
本年度も引き続き、各発表者の専門分野に根ざした視点より佛教が示してきた人間観の具体像が探求される。前年度で蓄積された知見とも併せて「人間とは何か」という問いに仏教が如何に答えてきたか、更に多面的な報告がなされる。一方それと同時に、本年度のサブテーマに掲げられた「仏教から見る『人間』定義の新次元」を目指し、現在私達が直面している様々な課題に対する仏教からのアプローチにも焦点が当てられる。
人間が作り出したものに人間自身が支配され疎外されかねない状況下で、「四姓平等」という古代インドにおける「人間定義の新次元」に立脚して始まった仏教が、今一度「新次元」を切り開くための基礎を築く議論の積み重ねが求められている。 現代社会は、「グローバリゼイション」の拡大がもたらす弊害や人間の能力を遥かに凌駕した「人工知能」の危険性など、現代社会が抱える様々な問題を抱えている。その全てに仏教が回答を与えることは困難かもしれない。しかし殆どの問題が「より便利で豊かに暮らしたい」という欲望追求の帰結であることを考えるならば、「欲望」の本質を問い続け、その超克、あるいは昇華への道を示して来た仏教にこそその役割を果たせるのではないか。
人間の非力さを心底思い知らされ絶望感に打ち拉がれた東日本大震災の被災地仙台において、本学術大会の取り組みが、人間の新たな可能性と未来への希望を生み出す機縁となることに期待したい。
2017年9月5日(火)
発表題目 | レジュメ | 発表者 | コメンテーター | 司会 | |
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9:00 - 9:20 | 現代社会における人間の欲望 ―インド仏教思想を手掛かりとして―
〈キーワード〉:「インド仏教」、「生命倫理」、「脳死」 | [ PDF ] | 石田 尚敬 (愛知学院大学) |
蓑輪 顕量 (東京大学) |
織田 顕祐 (大谷大学) |
9:20 - 9:40 | 人工知能を有情と見なすことは可能か
〈キーワード〉:「識の流れ」、「人工生命」、「他我問題」 | [ PDF ] | 師 茂樹 (花園大学) |
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9:40 - 10:10 | コメント・質疑応答 | ||||
10:10 - 10:40 | 休憩 | ||||
10:40 - 11:00 | 道元禅師の人間観
〈キーワード〉:「道元」、「人間観」、「南洲」、「積功累徳」、「遙かなる仏道」 | [ PDF ] | 角田 泰隆 (駒澤大学) |
中島 志郎 (花園大学) |
吉田 叡禮 (花園大学) |
11:00 - 11:20 | 「心」と「身」と「世界」の関係の再構築に向けて ―天台教学の視点より― | [ PDF ] | 塩入 法道 (大正大学) |
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11:20 - 11:50 | コメント・質疑応答 | ||||
12:00 - 13:00 | 理事会 | ||||
13:00 - 13:20 | 仏教・真宗の生命観 ―人権・平和論への一視座― | [ PDF ] | 高田 文英 (龍谷大学) |
一楽 真 (大谷大学) |
福田 琢 (同朋大学) |
13:20 - 13:40 | 浄土教における仏と人間
〈キーワード〉:「阿弥陀仏」、「三縁」、「深心」 | [ PDF ] | 曽和 義宏 (佛教大学) |
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13:40 - 14:10 | コメント・質疑応答 | ||||
14:10 - 14:40 | 休憩 | ||||
14:40 - 15:00 | 密教図像と宗教実践にみる人間存在の諸相
〈キーワード〉:「マンダラ」、「儀礼」、「不空羂索観自在」、「ネパール」 | [ PDF ] | 佐久間 留理子 (名古屋大学) |
野口 圭也 (大正大学) |
則武 海源 (立正大学) |
15:00 - 15:20 | ネパール仏教におけるヴラタ(vrata)について
〈キーワード〉:「ヴラタ」、「マンダラ儀軌」、「アヴァダーナ物語」 | [ PDF ] | スダン・シャキャ (種智院大学) |
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15:20 - 15:40 | 密教における人間存在
〈キーワード〉:「密教」、「人間存在」、「神的存在」 | [ PDF ] | 奥山 直司 (高野山大学) |
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15:40 - 16:20 | コメント・質疑応答 | ||||
16:30 - | 総会・記念写真撮影 | ||||
18:00 - | 懇親会 |
2017年9月6日(水)
発表題目 | レジュメ | 発表者 | コメンテーター | 司会 | |
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9:00 - 9:20 | 罪と懺悔
〈キーワード〉:「罪悪」、「懺悔」、「懺法」 | [ PDF ] | 吉田 実盛 (叡山学院) |
三輪 是法 (身延山大学) |
神達 知純 (大正大学) |
9:20 - 9:40 | 日蓮教学における罪と救い
〈キーワード〉:「謗法」、「法難」、「逆縁」 | [ PDF ] | 原 愼定 (立正大学) |
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9:40 - 10:10 | コメント・質疑応答 | ||||
10:10 - 10:40 | 休憩 | ||||
10:40 - 11:00 | 「群萌」あるいは「蜎飛蠕動之類」 ―平等で多様な〈弱きいのち〉の連帯へ― | [ PDF ] | 井上 尚実 (大谷大学) |
龍溪 章雄 (龍谷大学) |
田山 令史 (佛教大学) |
11:00 - 11:20 | 親鸞浄土教における人間と環境の洞察 ―批判原理としての「浄土」の回復―
〈キーワード〉:「根本煩悩」、「親鸞浄土教の真髄」、「環境破壊と浄土の構造」 | [ PDF ] | 山崎 龍明 (武蔵野大学) |
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11:20 - 11:50 | コメント・質疑応答 | ||||
12:00 - 13:00 | 理事会 | ||||
13:00 - 13:20 | 古典インド思想における言葉と人間
〈キーワード〉:「古典インド思想」、「言葉(śabda)」、「人為性」 | [ PDF ] | 藤井 隆道 (京都女子学園) |
矢島 道彦 (東京大学) |
金沢 篤 (駒澤大学) |
13:20 - 13:40 | 近代日本の縁起解釈論争にみる人間観 ―説一切有部の三世両重縁起説をめぐって―
〈キーワード〉:「縁起説論争」、「原始仏教」、「三世両重解釈」 | [ PDF ] | 一色 大悟 (東京大学) |
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13:40 - 14:00 | ジャイナ教聖者伝の展開と人間観の変容
〈キーワード〉:「聖者伝」、「ジャイナ教」、「チャリタ」、「ラーソー」 | [ PDF ] | 山畑 倫志 (北海道大学) |
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14:00 - 14:40 | コメント・質疑応答 | ||||
14:40 - 15:10 | 休憩 | ||||
15:10 - 15:30 | 医療現場における仏教者の現状
〈キーワード〉:「宗教的支援」、「スピリチュアルケア」、「看取り」 | [ PDF ] | 村瀬 正光 (身延山大学) |
藤堂 俊英 (佛教大学) |
楠 淳證 (龍谷大学) |
15:30 - 15:50 | 往生伝の人間観 ―現代の人間観・死生観と対比して―
〈キーワード〉:「法然伝」、「臨終行儀」、「家族による死への準備」 | [ PDF ] | 安達 俊英 (大阪大学) |
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15:50 - 16:10 | 仏典が伝える人間の「生活」 ―フィールド調査と「伝統的」食品加工の再現実験,並びに文献との照合を通じて―
〈キーワード〉:「乳製品」、「パーリ聖典」、「ヴェーダ文献」 | [ PDF ] | 西村 直子 (東北大学) |
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16:10 - 16:50 | コメント・質疑応答 |